FIIO「M25」「M25 R2R」は10月23日発売、各22万円前後。違うのはDACで、SNRは6dB・THD+Nは約10倍の差

手に持ったポータブルオーディオプレーヤーのイメージ
目次

この記事のポイント

  • いつ:2026年10月23日(金)発売(発表は10月16日・国内発売元はエミライ)
  • 何が:FIIOのDAP「M25」「M25 R2R」。同じ筐体・同じ機能で、違うのはDACのつくり
  • いくら:オープン価格、市場想定売価は各22万円前後(税込)
  • どう違う:M25はAK4191EQでΔΣ変調しAK4499EX×2で出力/M25 R2Rは抵抗アレイで直接出力
  • 読者は:公表値の差はSNRで6dB、THD+Nで約10倍。迷う間はM25を既定に置き、発売後に機種別の値と測定条件を確認

FIIOのデジタルオーディオプレーヤー(DAP)「M25」と「M25 R2R」は、同じ筐体に違うDACを積んだ2機種です。10月23日の発売を前に、DACのつくりがどう違うのか、公表値で差が出るのはどこか、聴く前にどちらを選ぶ目安が立つのかを整理します。

エミライが10月23日に発売、各22万円前後

エミライは2026年10月16日に国内発表を行い、10月23日(金)に両機を発売します。価格はオープンで、市場想定売価は各22万円前後(税込)、カラーはBlackとSilverの2色です(PHILE WEB)。

経緯を振り返ると、7月11日からのポタフェス2026夏(秋葉原)で本邦初公開の参考展示があり、当時の予告は「2026年夏頃発売」でした(PHILE WEB)。

共通部分も押さえておきます。SoCはQualcomm Dragonwing QCS6490、RAMは8GB、ストレージは128GB、USB部はXMOS XU316です(FIIO公式)。PHILE WEBは、DAC方式の異なる2機種を同時・同価格で出すのはFIIOとして初めてだと伝えています(PHILE WEB)。

ΔΣ変調器を持つM25と、抵抗アレイで出すM25 R2R

2機種の差は、DACがデジタル信号をアナログに変えるつくりの差です。ここを押さえると、後で出てくる測定値の差も読み解けます。

デジタル音声をアナログにする途中で、信号をいったん別の形に書き換える処理をΔΣ(デルタシグマ)変調と呼びます。少ないビット数で信号を高速に処理し、量子化ノイズ(デジタル化のときに生じる誤差による雑音)を可聴帯域の外へ押し出す方式です。この押し出しをノイズシェーピングといいます(theaudiostuff)。M25はこの変調を担うチップを持ち、M25 R2Rは持ちません。

M25 — AK4191EQで変調し、AK4499EX×2で出す

M25のDACは、旭化成エレクトロニクス(AKM)のAK4191EQ 1個とAK4499EX 2個の組み合わせで、左右を独立して受け持ちます(PHILE WEB)。

この組み合わせでは、一般にAK4191EQがデジタル音声を受けてフィルター処理・ノイズシェーピング・過サンプリング(元のサンプリング周波数より高い周波数に引き上げて処理すること)を担い、AK4499EXがD/A変換を担います(Stereophile)。AKMはAK4499EXを、デジタル部とアナログ部を分離した「スイッチド抵抗」方式のD/A変換器と説明しています(audioxpress)。変調を済ませた信号を受け取って、抵抗の切り替えでアナログに出す段という位置づけです。

つまりM25は、変調してから抵抗で出す2段構成です。

M25 R2R — 抵抗アレイでデジタル値を直接電圧にする

M25 R2Rは、FIIOが自社開発した「5+24bitセグメント型R2R PRO抵抗アレイ」を採用します(FIIO側の資料では「24+5bit」と表記されます・PHILE WEB)。R2R(抵抗ラダー)は、抵抗の網がつくる重み付きの和で、デジタル値をそのまま電圧に変える方式です。ΔΣ変調器を挟まず、デジタル値を受けた抵抗網がそのまま出力をつくる点が、M25との違いです。

弱点は精度です。各段の抵抗値を厳密に合わせる必要があり、抵抗値の誤差は信号そのものに連動した歪みとして出やすくなります(theaudiostuff)。ビット数が大きいほど高精度の抵抗が要るため、「セグメント型」の名称は、抵抗アレイで精度を稼ぐ設計を指すとみられます。

R2Rを扱う販売店の解説は、この方式が緩いフィルターで済むという特徴を挙げ、あわせて「温かく自然な音色」と評しています(fillion)。販売店による一般論で、音質の評価は意見の領域です。

仕様比較表 — 公表値で差が確認できるのは3行

SNRは信号と雑音の比(大きいほど静か)、THD+Nは全高調波歪み率に雑音を加えた値(小さいほど原音からのずれが少ない)です。機種で差が出る項目は、次の3つだけです。

項目M25M25 R2R
DACAK4191EQ+AK4499EX×2(左右独立)FIIO独自「5+24bitセグメント型R2R PRO抵抗アレイ」
SNR(4.4mm)126dB以上120dB以上
THD+N(4.4mm)0.00049%0.005%

SNRとTHD+NはPHILE WEBが掲載した比較表の数値で、測定条件は公表されていません。

残りは、2機種で共通の公表値です。

項目両機共通の公表値
発売日2026年10月23日
価格オープン価格、市場想定売価 各22万円前後(税込)
カラーBlack / Silver
SoCQualcomm Dragonwing QCS6490
RAM / ストレージ8GB / 128GB
OSAndroid 13
ディスプレイ5.5インチ 1080×2160
端子3.5mm(ヘッドホン/ライン/同軸デジタル兼用)、4.4mm(バランス/バランスライン)、USB-C×2
対応フォーマットPCM 768kHz/32bit、DSD512ネイティブ
主な機能デスクトップモード、31バンドPEQ、Auto EQ、Super High Gain

次の4項目は、公表されている値が1つしかなく、どちらの機種の値かの明記がありません。

項目公表値(機種別の明記なし)
最大出力4.4mmで1,700mW+1,700mW(32Ω)
バッテリー6,500mAh
質量 / サイズ約318g / 約76×139.8×18mm
再生時間3.5mm約14.5時間 / 4.4mm約12.5時間

再生時間の測定条件はMP3 44kHz/16bit・音量43・画面オフ・EQオフ・32Ω・高ゲインです。

6dB差と約10倍差を、どう受け取るか

SNRは126dB以上と120dB以上で6dBの差、THD+Nは0.00049%と0.005%で約10倍の差です。公表値で上回るのはM25で、同じ価格・同じ機能のままこの差が付きます。

ただし数値差がそのまま聴感差になるとは限りません。R2Rは一般にΔΣよりTHD+Nやノイズフロア(無信号時に残る雑音の水準)が高めに出るとされ、数値上の不利は方式の性格差として現れたものと読めます(fillion)。この6dBと約10倍が聴いて分かる差なのかを示す公表データは、両機については見つかりませんでした。数字は「同価格で払う代償の大きさ」として見るのが現実的です。

4.4mmで1,700mW+1,700mW、M15Sから41%向上

1,700mWは条件付きの最大値として読みます。他機と比べるときは、測定条件が揃っているかを先に確認してください。

4.4mmバランスの最大出力は、32Ω負荷で左右各1,700mWです。前モデルM15Sの1,200mWから41%の向上で、FIIO公式とPHILE WEBの記載が一致しています(FIIO公式)。

一方で、次の点は公表されていません。

  • THD+Nの条件
  • ゲイン設定
  • 3.5mmでの出力値
  • M25とM25 R2Rのどちらの値か

7月には1,600mWとする報道もあり、条件が非公開との指摘がありました(hifi.fan)。公式パラメータ表には4.4mmで340mW+340mW以上(32Ω、THD+N<1%、3.3Vrms)という別の記載もありますが、どの条件の値かは分かりません(FIIO公式パラメータ表)。

どちらを選んでも失わないものと、M25を既定に置く理由

まず、どちらを選んでも変わらないものを確認します。SoC、RAM、ストレージ、OS、端子、対応フォーマット、デスクトップモード・31バンドPEQ・Auto EQといった機能は2機種で同じです。価格も各22万円前後で同じです。選択で変わるのはDACのつくりと、そこから出る測定値だけです。

発売前のため、国内の実機レビューは確認できていません。以下は仕様と一般論からの目安で、音質の優劣の判定ではありません。

静けさと歪みの少なさを取るなら M25

同じ価格・同じ機能で公表値が上回るのはM25です。迷っている段階では、M25を既定に置くのが素直な判断になります。

抵抗ラダーの音を確かめたいなら M25 R2R

M25 R2Rを選ぶのは、SNRで6dB・THD+Nで約10倍という公表値の差を承知したうえで、ΔΣ変調を挟まない抵抗アレイの出し方を自分の耳で確かめたい動機がある場合です。R2Rは一般に「温かく自然な音色」と評されますが、これは販売店によるR2R全般の評で、この2機種を聴いた評価ではありません。測定値の優劣と、音の好みは別の話です。

聴き比べる前に決めておくこと

試聴では、普段使うイヤホンやヘッドホンを持ち込み、同じ曲で2機種を聴き比べるのが確実です。公表されている測定値は4.4mmでの数値なので、4.4mmと3.5mmのどちらで聴くかを決めておくと、比較の軸がぶれません。最大出力の公表値は1つしか出ていないため、駆動力で選び分ける理由は、現時点の公表値からは見当たりません。

国内で選べるのはDAC 2種類×カラー2色の計4通りです(PHILE WEB)。e☆イヤホンにはM25 R2Rの商品ページがあります(e☆イヤホン)。

まとめ

M25はAK4191EQで変調してからAK4499EXのスイッチド抵抗で出す構成、M25 R2Rは変調器を挟まず抵抗アレイで直接出す構成です。同じ筐体・同じ想定売価・同じ機能で、公表値の差はSNRの6dBとTHD+Nの約10倍に絞られます。

迷う間はM25を既定に置き、発売後のレビューで最大出力や再生時間の機種別の値と測定条件が明記されているかを確かめてから確定するのが、いまの情報でできる無理のない進め方です。

編集後記

同じ筐体で同じ22万円前後なのに、公表値で見える差がSNRの6dBとTHD+Nの約10倍に絞られている点が印象的です。数字が並ぶと、つい優劣まで決めたくなりますが、まだ聴いていないうちに結論を出すのは気が早いですね。10月23日の発売後に実機の感想が出てくるのを、私も一読者として待ちたいと思います。

— CODE. 編集部

Photo: Ash-Lab on Unsplash

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