この記事のポイント
- いつ:2026年8月20日(米太平洋時間)、Slackが新機能「Slack Code」を発表した。日本では時差により8月21日付で報じられている。
- 何が:好きな会話でAIコーディングエージェントにメンションするだけで、そのタスク専用の「コードチャンネル」が自動生成される。
- 中身:チャンネルは会話・プラン・コード差分・ライブHTMLプレビューの4タブ構成で、進行状況を全員がリアルタイムに追える。
- ガードレール:チャンネル内の誰でもエージェントを一時停止・停止できるが、本番へのマージなど重要操作には人間の明示的な承認が必須。
- 読者への意味:Slack Code自体は全プランで追加費用なしだが、各エージェントは個別契約が必要。即日使えるのはClaude・Devin・Copilot・Vercelの4つ。
メンション一つで専用チャンネルが自動生成、会話・プラン・差分・プレビューの4タブが揃う
Slackが発表した「Slack Code」は、任意の会話でAIコーディングエージェントにメンションするだけで、そのタスク専用のコードチャンネル(コーディング作業のために自動生成される専用チャンネル)が立ち上がる仕組みだ。チームメンバーは新しいツールを覚える必要がなく、普段使っているSlack上でエージェントとやり取りしながら開発を進められる。
チャンネルには4つのタブが用意される。会話タブでは指示やレビューコメントをやり取りし、プランタブではエージェントが立てた進行中の計画を確認できる。コード差分タブは、旧い行に打ち消し線を引き、新しい行をその隣に並べるdiff(変更前後の差分表示)を示す。ライブHTMLプレビュータブでは、生成中のアプリの見た目をその場で確認できる。
Agentforceとは別物——エージェントを作る場ではなく、人間とエージェントが協働する場
Slack Codeは、Salesforceのエージェント構築・展開プラットフォーム「Agentforce」とは別物だ。Agentforceがエージェントを作る場であるのに対し、Slack Code自体はエージェントではなく、人間とコーディングエージェントが協働する場という位置づけになる。
エージェントは誰でも止められるが、本番への反映には人間の承認が要る
コードチャンネルに参加しているメンバーは誰でも、エージェントの作業を一時停止・方向修正・停止できる。専用の「Agents」タブを使えば、複数のセッションを横断して同じ操作をまとめて行える。
一方で、本番環境へのマージなど重要な操作には、コードが出荷される前に人間が明示的なsign-off(承認)を与えることが必須とされている。この二段構えのガードレールの背景には、コーディングエージェントがライブセッション中にコードベースを消してしまった過去の事例があるとされる。
即日使えるのはClaude・Devin・Copilot・Vercelの4つ、ChatGPTは近日対応とされる
ローンチパートナーはAnthropic(Claude Code)・Cognition(Devin)・GitHub(Copilot)・Vercel・OpenAI(ChatGPT)の5社で、Slackは今後もパートナーを追加する方針だ。
| エージェント | 提供元 | 利用開始 |
|---|---|---|
| Claude Code | Anthropic | 即日 |
| Devin | Cognition | 即日 |
| GitHub Copilot | GitHub | 即日 |
| Vercel | Vercel | 即日 |
| ChatGPT | OpenAI | 近日対応(available soon) |
このうち即日利用できるのはClaude・Devin・Copilot・Vercelの4つで、OpenAIのChatGPTは近日対応とされている。Slack Code自体は全Slackプランで追加費用なしで使えるが、各エージェントは個別のアカウント・ライセンス・サブスクリプションが必要で、課金は各ベンダー側になる。自社で試すなら、まず使いたいエージェントの契約有無を確認するのが早い。
なおClaude Codeは8月14日から権限確認が自動審査になっており、エージェント側にも独自の承認の仕組みがある。Slack Code上でどこで誰が承認するのかは、導入前に整理しておきたい。
Slackが挙げる「7割超が1日以内にマージ」という数字と、実際に触った開発者の評価のギャップ
Slack社内の計測では、コードチャンネルの70%超がアイデアからマージ済みプルリクエストまで1日以内に到達しているという。ただしこれはSlackの自社計測であり、独立した第三者による検証ではない点は留意しておきたい。
実際に試した開発者のブログでは、開始のしやすさとチーム全員が進行中の作業をリアルタイムに見られる点を評価する一方、次の3点を課題として挙げている。
- スレッドの活動がノイズになりやすい
- Slackの画面内ではコード差分が読みにくい
- チーム全体での本格的なコードレビューの仕組みはまだ弱い
数字上の速さと実運用でのレビュー品質は、分けて見ておく必要がありそうだ。
タスク完了で自動アーカイブされ監査証跡に残る、Slackが描く「コード」の次の展開
タスクが完了するとコードチャンネルは自動的にアーカイブされ、検索可能な監査証跡(誰が何を指示し、いつ承認したかを後から追跡できる記録)として残る。コードチャンネルのAPIは将来、開発者コミュニティへ広く開放される予定だ。
Slackはこの「エージェント専用チャンネル」というパターンを、コーディングにとどまらない応用の第一弾と位置づけている。次のユースケースとしてマーケティングキャンペーンや法務文書レビューを挙げており、Slack Codeはその入り口という位置づけになる。
一方で、導入を検討するうえで気になるのは、コードベースや権限へのアクセス範囲、ワークスペース管理者による有効化・無効化の具体的な手順だろう。現時点の発表・報道では、これらの詳細は確認できていない。日本市場固有の提供制限や日本語UIについても報道は見当たらないが、これは「制限が無いと確認された」ということではなく、単に報道が見つかっていないという状態であり、導入前に自社で確認しておくべき点として留意したい。
こうした次の展開の背景には、経営トップの「コードはもはやボトルネックではない」という捉え方がある。
前CEOは2025年12月にOpenAIへ移籍、暫定CEO Seaman氏「コードはもはやボトルネックではない」
Slackの前CEOであるDenise Dresser氏は2025年12月、OpenAIのCRO(最高収益責任者)に移籍した。当時プロダクト責任者だったRob Seaman氏が暫定CEOに昇格しており、今回の発表でSeaman氏は、気に入っている点の一つとして「コードはもはやボトルネックではなくなった」と語った。
まとめ
Slack Codeは、AIコーディングエージェントとの協働をターミナルや個々の開発環境からグループチャットへ引き出す試みだ。会話・プラン・差分・プレビューの4タブと、停止・承認の二段階ガードレールで「誰でも見られるが、勝手には進まない」仕組みを作った点が特徴と言える。
読者にとっての実利は明確だ。Slack Code自体は追加費用なしなので、すでにClaude Code・Devin・GitHub Copilot・Vercelのいずれかを契約しているチームなら、Slack上でそのまま試せる。ただし本番反映の承認フローと、レビュー体制の弱さという開発者側の指摘は、導入前に社内でどう補うか検討しておく価値がある。
編集後記
会話・プラン・差分・プレビューが1つのチャンネルに揃うと聞き、私は開発の様子を覗き見できるようで少し新鮮な印象を受けました。ただSlack自身の計測で70%超が1日以内にマージとあると、その速さにレビュー体制が追いついているか、自分のチームなら気になってしまいますね。
— CODE. 編集部

