iRobot「Roomba Duo」は親機がアームで高さ8.35cmの子機をソファ下へ送り込む——市販予定はないコンセプト機

リビングの床を走行するロボット掃除機のイメージ
目次

この記事のポイント

  • いつ:2026年9月4日、ドイツ・ベルリンの家電見本市「IFA 2026」で発表(会期9月4〜8日・Messe Berlin Hall 9, Booth 133 で展示)
  • 何が:iRobot初となる2台構成のロボット掃除機・床拭きシステム「Roomba Duo」をコンセプトモデルとして発表
  • 仕組み:メイン機が上部の機械式アームで高さ8.35cmのコンパニオン機を運び、椅子の間や低い家具の下まで下ろして清掃させる
  • 位置づけ:販売予定はなく、価格・発売時期とも未定。将来の自律型家庭ロボットの方向性を示すコンセプト
  • 実際に買えるもの:同時発表の市販2機種Roomba Max 875 Combo(1,199ドル)とRoomba Plus 678 Combo(899ドル)。日本展開は未発表

メイン機がアームで子機を運び、届かなかった場所を分担する

iRobotは2026年9月4日、ドイツ・ベルリンの家電見本市「IFA 2026」で、2台のロボットが連携するコンセプトモデル「Roomba Duo」を発表しました。メイン機とコンパニオン機の2台構成で、iRobot公式発表によると同社初の「dual-unit」ロボット掃除機・モップです。

特徴はメイン機上部の機械式アームです。gagadgetの報道によると、アーム先端は移動中も水平を保つ設計で、コンパニオン機という追加重量を運んでも安定します。狭い場所に到達すると、アームがコンパニオン機を床まで下ろし、その場で解放します。

日本語プレスリリース(アイロボットジャパン合同会社)によれば、メイン機が掃除機がけと床拭き(スチームモップ)を担当し、コンパニオン機がダイニングチェアの間や、低いベッド・ソファ・テレビ台の下など通常のロボット掃除機が届かない空間を清掃します。このような2台連携型の掃除ロボットは、少なくとも公開情報を確認した範囲では類例が見当たりません。

共有ホームマップとAutoWashドックが2台を「1つのシステム」として動かす

Roomba Duoの2台は別々の製品ではなく、1つのシステムとして設計されています。iRobot公式発表によれば、両機は「Roomba Home」アプリ上の共有ホームマップに接続されリアルタイムで通信し、AIを活用して清掃タスクをその場で分担します。

清掃後の管理も一括化されています。Android Headlinesの報道によると、2台は共有の「AutoWash」ドック(自律移動式ドック)を使用します。ドックは清水の供給と排水を中央で担い、モップの洗浄・乾燥も自動でおこなわれます。大容量パックへのゴミ自動排出により、数ヶ月単位のハンズオフ運用が可能とされています。

ゴミ捨ての頻度をドック側に寄せる設計は、当サイトで扱ったDyson「R2 Nurovi Wash+Dry」にも見られます。

コンパニオン機は高さ8.35cm、メイン機のスチーム除菌は1媒体のみが報じている

メイン機は乾いたゴミの吸引に加え、床拭き(スチームモップ)を担当します。ubergizmoの報道では、硬質床面をディープクリーニングするアクティブスチーム除菌機能を統合し、高さ約60cm・重量約30kgとされています(除菌機能・寸法とも同メディアの単独報道で、他媒体での裏付けは確認できていません)。

コンパニオン機は、vacuumwarsの報道によれば高さ8.35cm・幅29.8cmと小型で、ダイニングチェアの間や低い家具の下など、通常サイズのロボット掃除機が入れない空間の清掃に特化しています。

両機とも「ClearView Pro デュアルラインLiDAR」(LiDAR=光で周囲との距離を測るセンサー技術)と「PrecisionVision AI」で家庭内の物体を検知・回避します。メイン機は上部AIカメラで高所視点も取得し、広い住宅でより詳細なマップを構築、汚れの蓄積エリアを識別してターゲット清掃します。

項目メイン機コンパニオン機
主な役割掃除機がけ・床拭き(スチームモップ)狭所の清掃(椅子の間・家具の下)
サイズ高さ約60cm・重量約30kg(単独報道)高さ8.35cm・幅29.8cm
センサーLiDAR+AI+上部AIカメラLiDAR+AI
ドック共有AutoWashドック共有AutoWashドック

Picea傘下入りから約7か月、Nasdaq上場廃止を経た再建体制での発表

Roomba Duoの発表は単なる新製品デモではありません。iRobot公式発表によると、同社は2026年1月23日、主要な契約製造・担保付き貸手であるShenzhen PICEA Roboticsによる100%株式取得を完了しました。米連邦破産法11章(Chapter 11、経営破綻企業が事業を継続しながら再建する手続き)に基づく裁判所監督下の再建計画で、Nasdaq上場は廃止され旧株主の持分もなくなりました。

同発表でiRobotは製品開発の継続と2026年内の新型Roomba投入を明言していました。Roomba Duo公開は、Picea傘下の再建体制のもとで製品開発の継続を、目に見える形で示すデモといえます。ただし、今回同時に発表された商用の一手は、Duoとは別の市販モデルにあります。

実際に買えるのはMax 875 Combo(1,199ドル)とPlus 678 Combo(899ドル)

Roomba Duoは購入判断の対象ではありません。ubergizmoの報道日本語プレスリリースの通り、あくまでコンセプト・開発プラットフォームの展示で、量産化・発売時期は未確定、価格も未発表です。プレスリリースでは、販売予定のないコンセプトモデルであり、将来の自律型家庭ロボットの方向性を示すものだとしています。

実際に発表された市販モデルは別の2機種です。Engadgetの報道によれば、上位機「Roomba Max 875 Combo」(1,199ドル)はSealForce吸引技術で35,000Pa(同社最高値)を実現し、ThermaMistの加熱ミスト噴射でモップ前の頑固な汚れをふやかします。

普及機「Roomba Plus 678 Combo」(899ドル)も同系AutoWashドックを備え、吸引力30,000Paです。いずれも日本での発売・価格は本稿執筆時点で情報がなく、日本展開は未発表です。

買える2機種と違い、Duoについて今後注目すべきなのは「商用化の続報」と「既存の統合型ロボット掃除機との違いの明確化」です。

まとめ

Roomba Duoは、メイン機がアームでコンパニオン機を狭所へ送り込み、共有ホームマップとAutoWashドックで1つのシステムとして動くコンセプトです。メイン機が吸引と床拭きを、高さ8.35cmのコンパニオン機が死角の清掃を担います(スチーム除菌の統合は1媒体のみが報じており、裏付けは取れていません)。背景には2026年1月のPicea傘下入り・Nasdaq上場廃止を経た再建途上という文脈があります。実際に購入できるのは同時発表の「Max 875 Combo」(1,199ドル)と「Plus 678 Combo」(899ドル)の2機種で、Duo自体は市販予定のないデモです。今後は商用化のアナウンスと既存製品との差別化の進み方が焦点になります。

編集後記

私は、高さわずか8.35cmというコンパニオン機の小ささに、素直に驚かされました。再建の途上にあるiRobotが、あえて非売品のコンセプトをここで見せてきたことは、技術開発を続けているという表明のようにも読めます。

— CODE. 編集部

Photo: Kowon vn on Unsplash

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