声でCodexを動かすOpenAI、声でOpusに考えさせるAnthropic。7月23日の音声アップデートはどこが違うのか

ノートパソコンに向かって話しかける人物(ChatGPT VoiceとClaude音声モードのイメージ)

2026年7月23日(米国時間)、OpenAI と Anthropic がそろって音声機能を更新しました。ChatGPT は音声の「使える場所」をデスクトップまで広げ、Claude は音声で「使えるモデル」の縛りを外しています。本記事では両社の変更点を公式情報から整理し、対応プラン・対応OS・音声からできることを表で並べます。

目次

7月23日、ChatGPTはデスクトップへ・Claudeは上位モデルへ

同じ日の更新でも、動いた方向は正反対です。OpenAI は音声の「置き場所」を PC に移し、Anthropic は音声の「頭脳」を上位モデルに差し替えました。

OpenAI は7月23日、ChatGPT デスクトップアプリに「ChatGPT Voice」を追加し、macOS / Windows 向けのグローバル展開を開始しています(OpenAI 公式告知)。Anthropic は同日、Claude の音声モードを刷新してパブリックベータでの提供を始めました(Anthropic 公式ブログ)。両社が同じ日に音声を強化した点はITmedia の報道でも整理されています。

GPT-Liveの発表は7月8日、デスクトップ対応はその約2週間後

ChatGPT Voice の基盤となる音声モデル「GPT-Live」自体は、7月8日にすでに発表されていました。GPT-Live-1 と GPT-Live-1 mini の2バリアントが用意されています(MacRumors)。つまり今回のデスクトップ対応は、新モデルの発表から約2週間後の「配備」にあたる更新です。

Claudeの音声は2025年5月にモバイルで始まり、今回が本格的な刷新

Claude の音声モードには1年以上の助走があります。2025年5月27日にモバイルアプリでベータが始まった時点では、駆動モデルは Claude Sonnet 4、対応言語は英語のみで、対象も当初は有料プラン限定でした。翌6月3日には全ユーザーへ開放されています。

その後、音声モードの駆動モデルは Haiku 固定へと移りました。対応言語の拡大はさらに後で、2026年5〜6月にかけて18言語程度への多言語化(push-to-talk 方式)が先行して実施されています。

つまり今回7月23日の更新で実際に変わったのは、次の2点です。ひとつは駆動モデルが Haiku 固定から Opus・Sonnet の選択可へ広がったこと、もうひとつはモバイル限定だった提供範囲がデスクトップ・Web を含む全プラットフォームになったことです(Anthropic 公式ブログ)。多言語対応は今回の新機能ではなく、それ以前に外れていた制約である点は押さえておきたいところです。

全二重のGPT-Liveが、相槌を打ちながらCodexとChatGPT Workを指揮する

デスクトップ版 ChatGPT Voice の本質は、音声が「複数エージェントの指揮席」になったことです。音声で「ChatGPT Work」と、コーディングエージェント「Codex」上で走る複数のエージェントに指示を出せます(TechCrunch)。ChatGPT Work は長い複数ステップの作業と成果物作成に向いたエージェント、Codex はコードの作成・レビュー・リリースを支援するエージェントです(OpenAI ヘルプセンター)。

ちなみに Codex 側は週間利用制限が短期間に何度もリセットされる状況が続いており、音声で回す前に手元の枠を確認しておくと安全です。

「mhmm」と相槌を打ちながら、割り込まれても会話が止まらない

これを成立させているのが full-duplex(全二重)アーキテクチャです。聞く・話す・バックグラウンドで作業を進行するの3つを同時に行える構造で、「話す/聞き続ける/止まる/割り込む/ツールを呼ぶ」の判断を毎秒複数回下しています(OpenAI)。検索や推論が必要な処理は GPT-5.5 などの別モデルへ委譲することで会話自体を止めない設計とされていますが、この委譲の詳細は公式の記述以上には確認できていません。

実際の会話では「mhmm」「got it」といった相槌を打ちながら聞き、こちらが被せて話しても自然に成立します(ChatGPT 公式ドキュメント)。エージェントに長い作業を投げている間、待たずに追加指示を差し込めるのが実利です。

macOS限定のAppshotsで画面を読み、iPhoneはRemote経由

macOS では「Appshots」という限定機能により、ChatGPT がアクティブウィンドウの画面内容(alt-text を含む)を参照して回答できます(Digital Today)。エラー画面を見せながら口頭で相談する、といった使い方が可能になります。

iOS からは「Remote」機能でスマートフォンをデスクトップホストとペアリングして利用します。Android 対応は今後の予定とされています(ChatGPT 公式ドキュメント)。

デスクトップアプリの対象は Plus・Pro・Business・Edu・Enterprise の有料5プラン

デスクトップアプリでこの音声機能を利用できるのは Plus / Pro / Business / Edu / Enterprise の5プランで、Free プランは対象外です(OpenAI ヘルプセンター)。ただしこれは「デスクトップアプリでエージェントを声で指揮する」機能に限った条件です。ChatGPT の音声そのものは、7月8日の GPT-Live 発表時点でモバイル・Web へグローバル展開されており、Free プランでも GPT-Live-1 mini が既定で割り当てられます(OpenAI)。無料では音声を一切試せない、というわけではありません。

Haiku固定をやめたClaudeの音声は、Opus・Sonnetで考えGmailやSlackに手が届く

Claude 側の変更は、音声の「思考の深さ」に効きます。公式は「Voice mode now runs on Claude Opus, Claude Sonnet, and Claude Haiku, reaches tools you’ve connected, and speaks many more languages.」と記載しており、従来の Haiku 固定から Opus・Sonnet まで解放されました(Anthropic 公式ブログ)。入出力価格を据え置いたまま世代交代した Opus 5を、音声のまま相手にできるということです。

公式が名指しするのはGmail・Googleカレンダー・Googleドキュメント・Slack

音声から、接続済みの外部ツール(コネクタ=Claude と外部サービスをつなぐ連携機能)に到達できるようになりました。公式が名指ししているのは Gmail・Google カレンダー・Google ドキュメント・Slack で、実行前には必ず許可を求める挙動です(Anthropic 公式ブログ)。移動中に予定を口頭で確認し、そのまま関連ドキュメントを引かせる、という導線が現実的になります。

音声モードは、テキストで最後に使ったモデルファミリーを引き継ぐ

モデル選択は自動と手動の両方が用意されています。音声モードはテキストで最後に使ったモデルファミリーを引き継ぎ、その中の最速版を既定にします。会話の途中でもモデルピッカーから切り替え可能です(Anthropic 公式ブログ)。「速く返してほしい雑談」と「考え抜いてほしい相談」を、同じ会話の中で切り替えられる設計です。

なお、最上位の Claude Fable 5 は、この公式ブログの列挙(Opus / Sonnet / Haiku)には含まれていません。ITmediaも非対応と明記しており、Max・Team Premium への恒久統合が発表された Fable 5を契約していても、現時点では音声からは使えないとみられます。

表で並べる、デスクトップは有料5プラン限定のChatGPTと、Free込みで条件が変わるClaude

自分の環境で何ができるかは、下表で照合してください。

項目OpenAI ChatGPT VoiceAnthropic Claude 音声モード
対応プランデスクトップアプリの新機能(エージェント指揮)は Plus / Pro / Business / Edu / Enterprise の有料5プランのみ。Free でもモバイル・Web では音声自体を利用可全プラン(Free 含む)だが機能差あり
使えるモデルGPT-Live-1(有料プラン・デスクトップ既定)/ GPT-Live-1 mini(Free 既定)。検索・推論は GPT-5.5 等へ委譲Opus / Sonnet / Haiku。Free は Haiku のみ、有料(Pro / Max / Team / Enterprise)は Opus・Sonnet を選択可
対応OS・端末macOS / Windows デスクトップアプリ。iOS は Remote 経由、Android は今後モバイル・デスクトップ・Web の全プラットフォーム(公式は「works best from your phone」と付記)
外部ツール・エージェントChatGPT Work / Codex 上の複数エージェントに音声で指示接続済みコネクタに到達(公式名指しは Gmail・Google カレンダー・Google ドキュメント・Slack)。Free はツール1つ、有料は全部
画面参照macOS 限定「Appshots」でアクティブウィンドウを参照公式の言及なし
言語公式の対応言語一覧は未確認日本語を含む多言語。全プランで全言語が利用可能
提供状態7月23日よりグローバル展開開始全プラットフォームでパブリックベータ

出典はOpenAI ヘルプセンターChatGPT 公式ドキュメントAnthropic 公式ブログClaude サポート記事です。

料金について補足すると、どちらも音声機能そのものに追加課金はありません。上表の「対応プラン」のとおり、すでに契約しているプランで使えるかどうかが決まる形です。

言語については注意点があります。Claude の対応言語は英語・フランス語・ドイツ語・ヒンディー語・インドネシア語・イタリア語・日本語・韓国語・ポルトガル語(ブラジル)・スペイン語(ラテンアメリカ/スペイン)などとされます。eWeekは「11言語」と伝えていますが、列挙されている言語は10件です。この差は、スペイン語をラテンアメリカとスペインの地域別で1件と数えるか2件と数えるかで生まれているとみられます。本記事では数値を断定せず「日本語を含む多言語」と記載しています。

声を指揮棒にするか、思考の相手にするか

編集部の見立てでは、両社は音声に別々の役割を与えています。OpenAI は音声をエージェント指揮のオーケストレーション層に置き、Anthropic は上位モデルでの熟考と接続ツールへの到達に置いた、という対比です(VentureBeatの整理も同方向)。ただしこれは公式が明言した設計思想ではなく、公開仕様からの編集部整理です。

コードを書く人・長い作業を回す人には、デスクトップ音声が効く

Codex に実装を任せて待つ時間、ChatGPT Work に長い作業を投げて進捗を確認する時間は、これまでキーボードに戻る必要がありました。全二重の音声がデスクトップに来たことで、その待ち時間に口頭で追加指示や方針変更を差し込めます。macOS ユーザーなら Appshots で画面を見せながら相談できるぶん、有利です。

無料の入口は両方にある — Claudeは Haiku 1本・ツール1つ、ChatGPTはモバイル・Web

まず試したいだけなら、入口はどちらにもあります。Claude は Free プランでも Haiku 駆動・接続ツール1つという制限つきで音声モードが使え、言語は全プランで制限がありません(Claude サポート記事)。Opus や Sonnet で考えさせたい場合に、はじめて Pro 以上の課金判断が必要になります。ChatGPT 側も、モバイル・Web の音声であれば Free プランで GPT-Live-1 mini を試せます(OpenAI)。課金が要るのは、デスクトップで Codex や ChatGPT Work を声で指揮する使い方のほうです。

まとめ

7月23日の2つの更新は、次の3点に整理できます。

  1. ChatGPT Voice はデスクトップに来た — macOS / Windows で、全二重の GPT-Live が ChatGPT Work と Codex の複数エージェントを音声で指揮できる。デスクトップでのこの指揮機能の対象は有料5プラン。
  2. Claude の音声は Haiku 固定をやめた — Opus・Sonnet で考えさせられるようになり、Gmail・Google カレンダー・Google ドキュメント・Slack など接続済みツールに音声から到達できる。Free でも制限つきで使える。
  3. 選び方の軸は「指揮か、思考か」 — デスクトップでエージェントを回す人は ChatGPT の音声、じっくり考えさせたい人は Claude。まず無料で試すだけなら、Claude は Haiku・ツール1つ、ChatGPT はモバイル・Web の音声(GPT-Live-1 mini)と、どちらにも入口がある。

今後の観測点は2つです。ひとつは OpenAI 側の Android 対応がいつ来るか。もうひとつは Claude の音声モードがパブリックベータをいつ抜けるかで、その際に Claude Fable 5 が音声の対象に加わるかどうかも、あわせて見ておきたいところです。

編集後記

同じ7月23日の更新でも、片方は声で複数のエージェントを指揮する方向、もう片方は選べるモデルを広げて考えさせる方向と、向いている先が違うのが印象的です。私は音声機能というと入力手段の話だと決めつけていたのですが、Claudeの音声モードがHaiku固定をやめたと知って、どのモデルに話しかけているのかも気にすべきなのだと思い直しました。

— CODE. 編集部

Photo: Petr Macháček on Unsplash

シェアいただけると励みになります!m(_ _)m
  • URLをコピーしました!
目次