この記事のポイント
- 発売日・価格:2026年8月28日発売、実売想定は税込4,400円前後(前作WINDは税込3,520円前後)
- 据え置きの仕様:周波数特性は20Hz–40kHzで前作と同一、40mm径ダイナミックドライバーの構成も踏襲
- 数値で動いた点:インピーダンスは32Ωから16Ωへ半減、質量は前作の約55gから約77gへ(計測条件の表記が異なる)
- スペック表に出ない変更:フェイスプレート加工・ヘッドバンド素材・イヤーカップ構造など(メーカーの説明による)
- 読み方の注意:「低音はオーバーイヤー級」はメーカー公称であり、発売3日時点で実機レビューは確認できていない
FiiOのサブブランド Snowsky から、セミオープン型オンイヤーヘッドホン「Snowsky WIND PRO」が2026年8月28日に発売された。前作「Snowsky WIND」からの主な変更点はどこにあるのか、スペック表の数字とスペック表に出ない仕様の両面から整理する。
前作比で動いたのはインピーダンスと質量、周波数特性は20Hz–40kHzのまま据え置き
実売想定価格は税込4,400円前後で、カラーはブラックとシルバーの2色。日本の正規代理店はエミライが務める(PHILE WEB/エミライ公式)。
40mm径ダイナミックドライバーには、日本製PET複合振動板・N52ネオジム磁石・日本製CCAWボイスコイル(銅メッキアルミ線を使った軽量な巻線材で、ボイスコイルを軽くすることで感度や応答性を高めやすいとされる)を採用したという(PHILE WEB)。
前作「Snowsky WIND」(2025年5月30日発売・税込3,520円前後・ブラック/シルバー/ピンクの3色)と並べると、40mmドライバーの構成や周波数特性20Hz–40kHzは変わっていない。動いたのはインピーダンスと質量の2点だ。
| 項目 | Snowsky WIND PRO | Snowsky WIND(前作) |
|---|---|---|
| 発売日 | 2026年8月28日 | 2025年5月30日 |
| 実売想定価格 | 税込4,400円前後 | 税込3,520円前後 |
| ドライバー | 40mm径ダイナミック(日本製PET複合振動板・CCAWボイスコイル) | 40mm径ダイナミック |
| インピーダンス | 16Ω(@1kHz) | 32Ω |
| 感度 | 100dB/mW・118dB/Vrms(@1kHz) | 約101dB/mW |
| 周波数特性 | 20Hz–40kHz | 20Hz–40kHz |
| 質量 | 約77g(ケーブル込み) | 約55g(計測条件の公表なし) |
| カラー | ブラック・シルバーの2色 | ブラック・シルバー・ピンクの3色 |
出典:PHILE WEB(WIND PRO)/e☆イヤホン/PHILE WEB(WIND)/価格.com
インピーダンス(ヘッドホンの電気的な抵抗値。数値が低いほど、スマートフォンなど非力な出力でも音量が取りやすいとされる)は32Ωから16Ωへとほぼ半分になった。一方で質量は前作の約55g(国内の製品情報表記)に対し約77g(ケーブル込みと明記)へ増えているが、この2つの数値は計測条件が揃っておらず、単純に「+22g」とは言えない点は留意したい。
全金属フォトリソグラフィー加工のフェイスプレートとステンレス伸縮ヘッドバンド、変更はスペック表の外にある
数値だけを見るとスペック表で完結してしまいそうだが、FiiO公式のニュースリリースでは、フェイスプレートに全金属フォトリソグラフィー加工を施し、ヘッドバンドをステンレス製の伸縮式にしたと説明されている(FiiO公式)。
回転式イヤーカップと専用ベント+音響ダンピングフィルターによるセミオープン設計
セミオープン型(ハウジングを完全に密閉せず一定の通気を持たせた構造。開放的な音場と、外部への音漏れ抑制の両立を狙って採用されることが多い)は、専用のベント(通気孔)と音響ダンピングフィルター(通気を確保しつつ余分な音の反射・共振を抑えるフィルター)の組み合わせで実現しているという(PHILE WEB)。イヤーカップは回転式とされる(FiiO公式)。
音のチューニングはワイヤレスイヤホン「EH11」を基準にしたとメーカーは説明する
音のチューニングについては、FiiOのワイヤレスイヤホン「EH11」の温かく自然なサウンドを基にしたとメーカーが説明している(FiiO公式)。これはあくまでメーカー自身が語る設計思想であり、CODE.編集部を含む第三者が実際に聴いて確認した評価ではない点は区別しておきたい。
「低音はオーバーイヤー級」はAV Watchの見出しに引かれたメーカー公称、発売3日時点で実機レビューは確認できず
本稿で特に整理しておきたいのが、「低音はオーバーイヤー級」という表現の出どころだ。AV Watchは発表直後の記事で「『低音はオーバーイヤー級』なレトロスタイルヘッドフォン。『Snowsky WIND PRO』」という見出しを掲げている(AV Watch)。
この見出しは鉤括弧付きで引用の形を取っており、掲載タイミング(発表告知直後)から見ても、AV Watch記者自身が実機を聴いた上での評価というより、FiiO/Snowsky側の公称表現を見出しに引いたものと判断するのが妥当だ。AV Watchが誤った表現をしているわけではなく、あくまで引用元の切り分けの問題である。
発売から3日が経過した本稿執筆時点(2026年8月31日)で、CODE.編集部が確認できた実機レビュー(メディア・ユーザーのいずれも)は無い。本稿でも「低音はオーバーイヤー級」を確定した評価としては扱わず、メーカーが公称する表現として距離を置いて記す。実機レビューが出揃ってから判断したい項目だ。
16Ωはスマホ直挿しの鳴らしやすさに効き、約77gの質量はオンイヤーの装着感とのトレードオフになりうる
スペックの変化を自分の使い方に当てはめるなら、押さえるべきは2点ある。
1つ目はインピーダンス16Ωがもたらす鳴らしやすさだ。スマートフォンやPCに直挿しする運用が中心の読者にとって、インピーダンスが低いほど非力なアンプでも十分な音量が取りやすい。前作の32Ωから16Ωへの変更は、まさに「直挿しでの鳴らしやすさ」に効く方向の変更と言える。
2つ目は質量約77g(ケーブル込み)による装着感の変化だ。前作より重くなった分、長時間のオンイヤー装着では耳への当たりが強く感じられる可能性がある。ここは実機での確認が必要な部分であり、本稿では断定しない。
スマートフォン運用まわりの仕様も押さえておきたい。日本オーディオ協会(JAS)のHi-Res Audio認証(一定の高域再生性能などの基準を満たした製品に付与される認証)を取得している(PHILE WEB)。
ケーブルは長さ約1.2mのOFC(無酸素銅。電気抵抗が低く音質劣化を抑えやすいとされる銅材料)フルブレイデッドケーブルを採用する。プラグはCTIA規格(イヤホンマイクの音声・マイク端子の配列を定めた業界標準規格の一つ。主要スマートフォンの多くが対応)準拠の3.5mm4極で、マイク付きインラインリモコンを備える(e☆イヤホン)。
付属イヤーパッドは装着済み1組に交換用1組を加えた2セットとされる(e☆イヤホン)。
3,520円のWINDと4,400円のWIND PRO、880円の差は「鳴らしやすさ」と「重さ」のどちらを取るかで決まる
前作Snowsky WIND(税込3,520円前後)とSnowsky WIND PRO(税込4,400円前後)の価格差は約880円。この差をどう見るかは、周波数特性のような音の土台部分の変更ではなく、「鳴らしやすさ」と「重さ」のどちらを取るかで決まる。
スマートフォン直挿しでの鳴らしやすさを重視するなら16Ωへ半減したWIND PROに分がある。少しでも軽い装着感を優先するなら、前作WINDの約55gが選択肢になる。低音表現の評価はメーカー公称先行の段階にとどまっており、実機レビューが揃うまでは判断材料に含めない方が安全だ。
編集後記
スペック表の数字はインピーダンス16Ωの半減ぐらいで地味に映りましたが、フォトリソグラフィー加工のフェイスプレートやステンレス伸縮ヘッドバンドまで手が入っていると知り、見えない部分の作り込みに興味が湧きました。実機レビューが出揃うのを、私も楽しみに待ちたいと思います。
— CODE. 編集部

