DRAMなしで読み取り11,000MB/s、Lexar THOR ULTRA。512GBだけ書き込みが半分になる

PCIe 5.0対応M.2 NVMe SSDのイメージ(Lexar THOR ULTRAの記事のイメージ写真)
目次

この記事のポイント

  • いつ:2026年8月14日(現地時間)にLexarが発表。日本国内の発売時期は未発表です
  • 何が:PCIe 5.0 x4対応のM.2 2280 SSD「THOR ULTRA PCIe Gen5x4 NVMe SSD」。512GB/1TB/2TB/4TBの4容量
  • 誰に:Gen5スロットを持つ自作PC・ゲーミングPCユーザー、ロード時間を詰めたい人
  • なぜ重要:DRAMを搭載せずに読み取り最大11,000MB/s・書き込み最大10,000MB/sを出す設計。ただしその数字が出るのは1TB以上で、512GBは読み取り9,900MB/s・書き込み5,000MB/sにとどまります
  • 読者は何をすべきか:容量は1TB以上を軸に検討する。国内の価格・発売日・代理店は未発表のため、判断は続報待ちです

11,000MB/sが出るのは1TB以上、512GBは書き込み5,000MB/s

同じ「THOR ULTRA」でも、速度はシリーズ内で一律ではありません。カタログの見出しになる最大11,000MB/sは1TB/2TB/4TBの数値で、最小容量の512GBだけが別の数字になります。

容量別スペック早見(読み取り/書き込み/TBW)

Guru3DNotebookcheckが伝えるスペックを、容量別に並べると差がはっきりします。

容量シーケンシャル読み取りシーケンシャル書き込みTBW(総書き込み容量)
512GB最大9,900MB/s最大5,000MB/s350TBW
1TB最大11,000MB/s最大10,000MB/s750TBW
2TB最大11,000MB/s最大10,000MB/s1,500TBW
4TB最大11,000MB/s最大10,000MB/s3,000TBW

読み取りの差は1,100MB/s(約10%)ですが、書き込みは10,000MB/sに対して5,000MB/sと、ほぼ半分です。価格が最も安い512GBを選ぶと、書き込み性能は上位容量の半分になります。

なぜ512GBだけ落ちるのか

512GBだけ書き込みが伸びない理由は、内部に搭載するNANDフラッシュのダイ数にあります。SSDは複数のNANDダイに同時並行で書き込むことで速度を稼ぐため、容量が小さくダイ数が少ないモデルほど並列度が下がり、書き込みが伸びません(Guru3D)。

つまり512GBの数値は「廉価版の手抜き」ではなく、小容量SSDに共通する構造的な制約です。製品名だけで性能を判断せず、買う容量の行を見る——Razer Blade 16 (2026) が厚さ14.9mmと17.4mmの2つの数字を持つのと同じ読み方が要ります。

DRAMを積まずに速度を出す設計 — 6nmコントローラとHMB、動的SLCキャッシュ

THOR ULTRAは、多くの高速SSDが搭載するDRAMキャッシュを持たないDRAMレス設計です。それでも上位容量で11,000MB/sに届くのは、6nmプロセスのコントローラにHMB動的SLCキャッシュを組み合わせているためです(ThinkComputers)。

HMB(Host Memory Buffer/ホストメモリバッファ)は、SSDがPC本体のメインメモリの一部を借りて、データの置き場所を記録する管理表を置く仕組みです。SSD側にDRAMを載せる代わりにPCのメモリを間借りする、と考えると分かりやすいでしょう。動的SLCキャッシュは、NANDの一部を高速な書き込みモードで使い、書き込みのピーク性能を確保します。

Lexarは、インテリジェントな電力管理と6nmコントローラによって発熱を抑え、高負荷時も安定した性能を保つとしています(HotHardware)。なおDRAM非搭載がコスト低減に寄与するとの見方もありますが、これは媒体の見立てであり、Lexarが公表した価格根拠ではありません(HWBusters)。

ランダム220万IOPSとDirectStorage対応、ゲーム用途で効くのはどこか

体感に効くのは、実はシーケンシャル値よりランダム性能です。THOR ULTRAはランダムリード最大220万IOPS(IOPS=1秒あたりに処理できる読み書きの回数)、ランダムライト最大190万IOPSをシリーズ最大値として掲げています(HotHardware)。

ゲームのロードやOSの起動は、大きなファイルを一気に読む場面より、小さなデータを大量に拾う場面が多くを占めます。ここで効くのがランダム性能で、11,000MB/sという数字がそのままロード時間の短縮率になるわけではありません。

加えてMicrosoft DirectStorage(ゲームのロードとデータストリーミングを高速化する仕組み)に対応します(HotHardware)。ただし恩恵を受けるには対応タイトル側の実装が前提となるため、手持ちのゲームが対応しているかは購入前に確認しておきたいところです。

4TBで3,000TBW、保証はMTBF150万時間または5年のどちらか早い方

長く使う前提なら、速度より寿命の行を見るべきです。TBW(総書き込み容量=寿命の目安として保証される書き込み量)は512GBの350TBWから4TBの3,000TBWまで、容量に比例します(Notebookcheck)。

保証条件はMTBF(平均故障間隔)150万時間、または5年間の限定保証のいずれか早い方です(ThinkComputers)。1TBの750TBWは、毎日100GB書いても20年以上に相当する計算で、一般用途なら保証期間の5年が先に来ます。

管理面では専用ユーティリティ「Lexar DiskMaster」が付属し、ファームウェア更新、健康状態の確認、パフォーマンス最適化、データ保護を行えます(Notebookcheck)。導入したらまずファームウェアを最新にし、SMART相当の健康状態を定期的に見る運用が現実的です。

日本の価格・発売時期・代理店はいずれも未発表。英国では512GBが£119.99から

「今すぐ国内で買えるのか」への答えは、現時点では「まだ分からない」です。日本国内の価格・発売時期・取り扱い代理店はいずれも未発表で(エルミタージュ秋葉原)、Lexarはグローバルの出荷日と価格も公表していません(Guru3D)。

一方、英国Amazonでは既に取り扱いがあり、512GBが£119.99、1TBが£179.99からと報じられています(GamesRadar)。ただしこれは単一媒体が伝える店頭実売価格であり、メーカー希望価格でも日本での価格でもありません。あくまで水準の目安として扱うのが妥当です。

メーカーが数字を出していない項目が判断を左右する構図は、動作TGPが未公表のままのROG NUC 16と同じです。製品情報はLexar公式の製品ページで更新される見込みで、国内展開の続報を待つ段階といえます。

まとめ

THOR ULTRAは、DRAMレスでありながら上位容量で読み取り11,000MB/s・書き込み10,000MB/sに届くPCIe Gen5 SSDです。押さえるべき点は3つに整理できます。

第一に、容量選びは1TB以上が本命です。512GBは書き込みが5,000MB/sとほぼ半分で、TBWも350TBWにとどまります。第二に、DRAMレスは廉価版を意味せず、6nmコントローラ+HMB+動的SLCキャッシュで代替した設計です。第三に、国内の価格・発売時期・代理店は未発表で、購入判断の材料はまだ揃っていません。

次に見るべきは、日本の取り扱い代理店の発表と国内価格です。あわせて、大容量ファイルを連続で書き込んだ際の持続性能が実機レビューでどう出るかも注目点になります。DRAMレス設計がこの場面にどう影響するかは、実機での確認を待つ必要があります。

編集後記

読み取り最大11,000MB/sという数字にまず目を奪われたのですが、512GBだけ書き込みが5,000MB/sと半分になると知って、少し姿勢を正しました。私はつい容量あたりの安いモデルを選びがちなので、同じTHOR ULTRAでも自分が手にするのはどちらの数字なのかを、先に確かめておきたいですね。

— CODE. 編集部

Photo: Daniel Leżuch on Unsplash

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