CELSYS(セルシス)が運営する素材共有サービス「CLIP STUDIO ASSETS」で、2026年9月22日ごろから投稿素材が広範囲に非公開化される事態が起きました。発生から1週間が経った9月29日時点で、何が分かっていて何が分かっていないのかを整理します。
この記事のポイント
- いつ:2026年9月22日ごろから非公開化が始まり、9月23日にセルシスが謝罪、9月28日に追加取材への回答が報じられました
- 何が:CLIP STUDIO ASSETSで投稿素材が広範に非公開化されました。対象は人物3Dモデルだけでなく、ペン・フキダシ・トーン素材、公式配布のナイフとフォークの3Dデータも含まれています
- ダウンロード済み素材:削除ではなく非公開化です。違反素材として削除された場合を除き引き続き利用でき、9月23日夕方以降は「マイダウンロード」から再取得できるよう改修されています
- 投稿者がいまできること:誤判定分は順次再公開される方針のみ示され、修正・再申請の具体的な基準は未提示です。続報はセルシス公式X(@clip_celsys)で確認できます
- 回答の線引き:AI判定・クラウドデータの任意確認・英国政府との関連は否定されました。一方で判定手法の詳細とpixiv FANBOXとの関連については「回答を控える」とされています
対象はペン先・フキダシ・ナイフとフォークの3Dまで——性的表現に無縁の素材も一緒に消えた
CLIP STUDIO ASSETSは、イラスト制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」のユーザーがブラシ・3Dモデル・トーン素材などを投稿・共有できるセルシスのサービスです。2026年9月22日ごろから、このASSETS上の投稿素材が広い範囲で非公開化されていると利用者の間で報告されました。
ITmediaやASCII.jpの報道によれば、対象は人物3Dモデルに限りません。ペン素材・フキダシ素材・トーン素材、さらにセルシスが公式配布していたペン素材やナイフとフォークの3Dデータまで含まれたといいます。性的表現とは一見無縁の素材まで巻き込まれた点が、利用者の困惑を広げました。
背景にあるのはグローバル展開でのすれ違い——年齢・地域で分ける表示制御は「将来」の話
なぜここまで広範囲になったのか。一利用者が整理したnote投稿によれば、ASSETSが世界展開する中で、年齢・文化・地域によって表現の受け取られ方が異なることへの対応が理由と紹介されています。
同じ整理では、将来的に「公開/非公開」の二択ではなく、年齢・地域・利用者設定に応じた表示制御を導入する方針が紹介されています。ただし時期や詳細は未定です。今回はその仕組みが整う前の確認作業で、誤判定を含む非公開化が広がった形です。
「非公開」は削除ではない——マイダウンロードは9月23日夕方に復旧済み
読者が最も気になるのは「自分がダウンロードした素材はどうなるのか」でしょう。ここは事実関係の区別が必要です。
セルシスは9月23日、公式X投稿で「運用方針に基づく確認作業の中で非公開素材の件数が増えている」と説明し、説明不足で利用者に不安・懸念を与えたことを謝罪しました。確認作業の運用・手順に不十分な点があり、誤判定が生じていたことも認めています。
重要なのは「非公開化」が「削除」とイコールではない点です。違反素材として削除された場合を除き、既にダウンロード済みのファイルは引き続き利用できます。さらに9月23日夕方までに、非公開化された素材であっても「マイダウンロード」(過去に取得した素材の履歴から再ダウンロードできる機能)から再取得できるようシステムが改修され、対応が完了したとしています。
投稿者に見えているのは「順次再公開」の一文だけ——修正基準は示されないまま
一方、素材を投稿する側のクリエイターが置かれた状況は利用者側とは異なります。
セルシスの説明では、問題のない状態に修正された素材・誤判定と判明した素材は順次再公開する方針が示されています。ただし現時点で具体的な再公開の件数やスケジュール、利用規約の正式な改定についての続報は確認できておらず、「いつ戻るのか」は未確定のままです。
さらに悩ましいのは、非公開になった素材を「どう修正すれば再申請できるのか」という基準が示されていないことです。一般の投稿ガイドラインに沿った確認は案内されているものの、今回の騒動に特化した修正基準は明示されていません。note.comやTogetterの投稿者の声では、同系統の素材でも残るものと落ちるものがあり判定基準が不透明だという指摘や、「今後も予告なしで検閲が入るのでは」という疑念が見られます。
続報はセルシス公式X(@clip_celsys)で告知されています。
AI判定は否定、判定手法は「回答を控える」——9月28日の取材報道が示した線引き
9月28日のITmediaの追加取材で、セルシスが答えた論点と答えなかった論点の線引きが見えてきました。AI判定・クラウドデータ確認・英国政府との関連は否定した一方、判定の具体的な手法とpixiv FANBOXとの関連については回答を控えたと報じられています。
| 論点 | セルシスの回答(ITmediaの報道による) |
|---|---|
| 判定へのAI使用 | 使用していないと否定 |
| ユーザーのクラウドデータの任意確認 | 行っていないと否定 |
| CLIP STUDIO PAINT本体への創作制限機能 | 導入しない方針を説明 |
| 英国政府がらみの臆測 | 無関係と否定 |
| 具体的な確認・判定方法(人力か機械的スクリーニングか等) | 回答を控える |
| pixiv FANBOXの公開停止との関連 | 回答を控える |
どのような方法・体制で素材を確認しているのか(人力の審査か、機械的スクリーニングの併用か、巡回頻度など)は非開示のままです。AIは使用していないとされますが、だからといって「人力で審査している」と断定できる材料はありません。
もう一つの焦点がpixiv FANBOXとの関連です。同時期にpixiv FANBOXでも、決済事業者からの指摘を理由とした公開停止が相次いだと報じられており、両者を同根とみる臆測がネット上で出ています。ただしこの点も「回答を控える」とされ、同時期に起きた別件との関連は肯定・否定とも示されていません。
まとめ
CLIP STUDIO ASSETSの素材非公開化は、9月22日ごろの発生から1週間が経過しました。対象は人物3Dモデルに限らない広範な素材に及び、ダウンロード済み素材は削除されない限り使え「マイダウンロード」から再取得できます。AI判定・クラウドデータの任意確認・英国政府との関連は、セルシスが否定したと報じられています。
一方、非公開化の総件数、判定手法の詳細、修正・再申請の基準、pixiv FANBOXとの関連、再公開の件数・スケジュールは、いずれも未確認・未公表のままです。投稿者は公式X(@clip_celsys)での続報を待つ段階にあります。
編集後記
利用者側はマイダウンロードで9月23日には再取得できるようになった一方、投稿者側への修正基準はまだ示されていない、という非対称さが今回いちばん印象に残りました。判定手法もpixiv FANBOXとの関連も「回答を控える」とのことで、私も続報を気長に待つしかなさそうです。
— CODE. 編集部
- Source:ITmedia NEWS(1)
- Source:ITmedia NEWS(2)
- Source:ASCII.jp
- Source:CLIP STUDIO 公式X
- Source:CLIP STUDIO ASSETS
Photo: Firosnv. Photography on Unsplash

