この記事のポイント
- いつ:現地時間2026年7月29日に発表、同日から Google Flow Music で提供開始
- 何が:音楽生成モデル「Lyria 3.5」。楽曲性・歌詞・ボーカル・クリエイティブコントロールの4領域を強化
- 誰に:Flow Music の既存ユーザー全員に追加費用なしで提供。無料プランのままでも使える
- なぜ重要:Selective Section Painting で気に入らないパートだけ作り直せる。フル尺楽曲のステム書き出し(Starter以上の有料機能)で DAW に持ち込める
- 読者は何をすべきか:まず無料プランで1曲作ってみる。部分編集がどこまで無料で試せるかは実際に操作して確かめる
Google が音楽生成モデル「Lyria 3.5」を発表しました。生成し直しを繰り返す作り方から、気に入らない箇所だけを直す作り方へ。何が変わり、どこまで無料で使えるのかを整理します。
7月29日に切り替わった Google Flow Music の中身
Google Flow Music をすでに使っている人は、特別な操作をしなくても新しいモデルを触っています。Lyria 3.5 が既存ユーザー全員へ追加費用なしで提供されるためです。Google が発表したのは現地時間2026年7月29日で、同日から Flow Music での提供が始まりました(Google 公式ブログ)。
公式が挙げる強化点は、楽曲性・歌詞・ボーカル・クリエイティブコントロールの4領域です。テキスト側の Gemini 3.6 Flash と同じく、更新は短い間隔で続いています。
Lyria 3 Pro の後継という位置づけ(公式明言ではない点も含めて)
Lyria 3.5 は従来の Lyria 3 Pro の後継にあたるとみられます(AI革命)。ただし公式発表は「後継」という位置づけを明言しておらず、旧モデルの今後にも明確な案内はありません。
メロディ、歌詞、そして日本語ボーカルの発音
日本語で歌わせている人に今回いちばん効くのは、ボーカルの発音です。感情表現と発音が改善され、日本語を含む複数の言語で発音がクリアになったと報じられています(BiggO)。対象言語の並びは媒体によって記載が異なります。
ただし日本語単体の改善率は公表されていません。以前作った曲と同じ歌詞・同じプロンプトを通し直し、聞き取りやすさを耳で比べるのが確実な確認方法です。
人間のアレンジャーのように展開するメロディ構造
楽曲性の中身として説明されているのは、人間のアレンジャーのように展開するメロディ構造です(Android Central)。サビへ盛り上げる、後半で展開を変えるといった時間方向の設計が曲らしくなる、という説明です。
プロンプト忠実性と曲構成の把握が上がった歌詞生成
歌詞生成では、プロンプトへの忠実性と曲構成の把握が向上したとされています(窓の杜)。「Aメロは情景描写だけ、サビで言い切る」のように構成と歌詞の役割をセットで指示すると差が出やすい部分です。
気に入らないパートだけ差し替え、短いメロディをフル尺へ伸ばす
今回の目玉は Selective Section Painting です。生成済みトラックの特定パートだけを編集する機能で、曲全体を作り直さずに気に入らない箇所を選んで作り直せます(the decoder)。短いメロディをフル尺へ拡張する使い方も紹介されています。
変わるのは作り直しの単位です。曲全体を生成し直す代わりに、トラック内の気になった一部分だけを選んで作り直せます。短いメロディを起点に1曲の形へ伸ばす使い方も同じ延長線上にあり、いったん出した1本を捨てずに手を入れ続けられます。
ステム書き出し、BPM 指定、そして3分という上限
ここでいう「フル尺へ伸ばす」は、短いメロディを最大3分までの1曲の形へ拡張することです。生成できる曲そのものの上限は3分のままで変わっていません。編集の自由度が広がった部分と、据え置かれた枠を順に見ます。
フル尺楽曲のステム書き出しと DAW への持ち込み
Lyria 3.5 はフル尺楽曲のステム書き出しに対応しました(innovatopia)。ステムとは、ボーカルやドラムなどパートごとに分けて書き出した音声ファイルです。
これを DAW(音楽制作ソフト)に読み込めば、パート単位で音量やエフェクトを調整できます。生成物を完成品ではなく素材として受け取れる、ということです。
ただしステム書き出しは無料プランには含まれません。Starter(月8ドル、年間契約時は月あたり6ドル)以上の有料プランの機能です(Flow Music 料金ページ)。素材として持ち出す運用に踏み込む段階で、課金の判断が発生します。
BPM と尺の指定
クリエイティブコントロールでは BPM と尺の制御が向上したとされています(窓の杜)。BPM は1分あたりの拍数、つまりテンポの数値です。動画やナレーションに合わせるなら、尺と BPM を先に決めて指示するほど手戻りが減ります。
生成できるボーカル曲は30秒〜最大3分で据え置き
一方、ボーカル曲の長さは30秒から最大3分のままで、Lyria 3 Pro から据え置きです(AI革命)。長尺 BGM を一度に作る用途には向きません。なお、画像から曲を作る image-to-music への対応も伝えられていますが、当編集部では一次情報を確認できていません(未確認)。
無料プランで足りる人、月8ドル以上を払う意味がある人
試すだけなら課金は不要です。Lyria 3.5 は既存ユーザー全員へ追加費用なしで提供され、無料プランでも利用できます(Google 公式ブログ)。有料プランは月々払いと年間契約で単価が変わります(Flow Music 料金ページ)。
| プラン | 月額(月々払い) | 年間契約時の月あたり |
|---|---|---|
| 無料 | 0ドル | — |
| Starter | 8ドル | 6ドル |
| Plus | 24ドル | 18ドル |
| Member | 64ドル | 48ドル |
年間契約にすると月あたり2〜16ドル下がります。毎日触るなら年間契約、月に数回なら無料枠か Starter の月々払いから始めるのが素直です。
サブスクなしでも無料枠で試せる
サブスクリプションなしでも、無料枠で曲を作って試せます。ただし無料枠がクレジット何単位で、1日あたりどれだけ付与されるのかという具体的な数値は、公式情報から確認できませんでした(未確認)。
Flow Music のクレジットは Google AI クレジットとは別勘定と案内されています(Google Flow ヘルプ)。1曲あたりの消費数も公開情報から確認できないため、何曲作れるかは数曲試して自分で計測するのが確実です。
Google AI Plus/Pro/Ultra 会員が受けられる相当特典
すでに Google AI Plus / Pro / Ultra に加入している場合、それぞれ Starter / Plus / Member に相当する特典を受けられるとされています(Google Flow ヘルプ)。単体契約の前に、手持ちのサブスクリプションで足りていないかを確認してください。
作った曲を世に出す前に確認したい、SynthID と学習データの前提
公開や商用利用を考えるなら、生成物に何が埋め込まれているかを知っておく必要があります。Lyria の生成トラックには SynthID という電子透かしが入るとされ、人間には知覚できず形式変換を経ても検出され得る設計で、Gemini で検査できるとも説明されています(pexo.ai)。
学習データについては、Lyria がライセンス済みデータでの学習を掲げていると報じられ、権利者との係争が続く他社サービスと対比する文脈で扱われています(Tech Times)。いずれも公式発表以外の情報を含むため、商用案件では利用規約の原文確認を挟むのが安全です。
まとめ
Lyria 3.5 は、音楽 AI を「引き当てる道具」から「編集する道具」へ寄せた更新です。曲を作ること自体は無料プランの範囲で試せるため、以前に試して諦めた人ほど、いまの出来を確かめ直す価値があります。ただし Selective Section Painting などの編集機能がプラン別にどこまで使えるかは、公式に明記されておらず未確認です。
素材として DAW へ持ち出すステム書き出しは、Starter(月8ドル、年間契約時は月あたり6ドル)以上の有料機能です。まず無料で編集の手応えを確かめ、素材として使いたくなった時点で課金を判断する順番に無駄がありません。
次に試すことは1つで足ります。まずは無料プランで1曲作り、生成後の部分編集がどこまで試せるかを実際に操作して確かめてください。そのうえで曲を素材として DAW へ持ち出したくなった時が、月8ドルを払う判断の分かれ目です。
編集後記
読み終えて私がいちばん引っかかったのは、Selective Section Painting でした。気に入らない箇所だけ選んで直せると聞くと、何度も生成し直しては諦めていた時間は何だったのかと、つい遠い目になってしまいます。
プラン別にどこまで使えるかは未確認とのことなので、まずは無料で試せる曲作りそのもので手を動かすところから始めます。それだけでも長くなりそうな予感です。
— CODE. 編集部
- Source:Google 公式ブログ
- Source:AI革命
- Source:BiggO
- Source:Android Central
- Source:窓の杜
- Source:the decoder
- Source:innovatopia
- Source:Flow Music 料金ページ
- Source:Google Flow ヘルプ
- Source:pexo.ai
- Source:Tech Times
Photo: Lee Campbell on Unsplash

